糖尿病性腎症
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症とは糖尿病の合併症のうちの一つです。糖尿病により血糖値が高い状態が長期間持続することで発症するとされていますが、明らかな原因は特定されていません。
糖尿病性腎症になると、全身の動脈硬化が進行が加速し腎臓の糸球体でも細かな血管が壊れ、網の目が破れたり詰まったりして老廃物をろ過することができなくなります。それによって尿が出なくなり、結果として透析治療を余儀なくされてしまいます。
2012年末のデータではありますが、糖尿病性腎症が原因で透析を受けることになった方は、全透析患者のうち44.1%(2012年末現在)と最も多い割合を占めています。
糖尿病性腎症はその進行度によりステージが分けられており、ステージによって症状は異なります。
この状態のことを腎症前期と呼び、尿タンパク質あるいはアルブミンの値は正常ではある段階です。
この状態のことを早期腎症期と呼び、30〜299mg/mCrの微量のアルブミン尿が検出されます。
この状態ではまだ厳密な血糖・血圧コントロールなどの適切な治療によって改善が見込まれます。
この状態のことを顕性腎症期と呼び、300mg/mCr以上のアルブミン尿や0.5g/gCr以上のタンパク尿が検出されます。
こうなると血圧も次第に上昇し、高血圧によって血管が傷つけられ、さらに腎臓に悪影響を及ぼす状態になります。
この状態ではむくみ、息切れ、息苦しさなどの症状が現れ始めます。
この状態を腎不全期と呼び、慢性的に顔色が悪くなったり、疲労感、吐き気、嘔吐、攣りやすい、手足が痺れるなどの症状が出てきます。
この状態は透析療法期と呼ばれ、透析が必要になった方を対象とします。
第1期、第2期では自覚症状がほとんどないため尿検査でしか判断ができません。しかし第3期を過ぎるとコントロールはできても改善することは不可能なため、第2期などの早い段階で糖尿病性腎症を疑い、見つける必要があります。
第2期第3期では厳格な血糖値・血圧のコントロールが必要になります。低カロリー食や運動療法を基本としますが、インスリン注射なども併用して行うことがあります。
第2期では後戻りができなくなる第3期直前であるため、元の状態に戻ることを目標にしてお薬や治療法を選択します。一方で第3期まで進行すると第2期以前には戻れないため、ここからはこれ以上悪くならないようにお薬や治療法を選択します。
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